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十月上旬。信州の山の紅葉が始まる季節
十月というと、ほとんどの地域では紅葉どころか木々はまだ緑色をしていると思います。しかし、標高2000m近くの高原や山々では紅葉が始まる季節となります。
今回僕は足早に過ぎゆくアルプスの紅葉の最前線を撮りつつ、山の絶景を楽しみに行こうと南アルプスは甲斐駒ヶ岳へと登山に向かったのでした。
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仙流荘から北沢峠へ。絶景峡谷バスツアー
長野側の南アルプスの玄関口となる伊那市の仙流荘。ここから南アルプスの奥地北沢峠へとバスが通っています。
シーズンには登山者の長蛇の列ができる仙流荘のバス停。早めに到着してバスのチケットを購入し、並んでおくと良いでしょう。
仙流荘を出発したバスは、戸台川沿いの道をぐんぐんと上っていきます。
車窓は迫るような山肌。標高が上がるにつれて木々が色づいていきます。
谷の奥へ行くにつれて、登山者たちの目的地である甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳が間近に見えてきます。
南アルプスにおいて最も険しい、のこぎりだけの山容も迫るように見えてきます。
1時間ほどのバス旅。絶景が連続する窓の外の景色にいっときも目が離せません!
長衛小屋でテント設営
北沢峠でバスを降りてから山梨側に歩いて、10分ほどで長衛小屋に到着します。
小屋で受付を済ませて早速テント設営。
拠点ができるとやはり安心します。
昼食を摂り、栗沢山へ登る準備を整えます。
関連:一眼レフ・ミラーレスで登山の風景を美しく撮るために知っておきたいテクニック
一日目の午後は栗沢山へ。
お昼を過ぎた頃、明日登る予定の甲斐駒ヶ岳がよく見えるとなりの山、栗沢山へ向かいます。
治山ダムに溜まった水がとても綺麗な色をしていました。
長衛小屋から仙水小屋までは沢沿いのなだらかな登りが続きます。
仙水小屋。原則利用者以外立ち入り出来ないらしく、トイレや売店の利用なども基本出来ません。
仙水小屋からしばらくは緑深い原生林の登りとなります。
「もののけ姫」にでてきそうな苔むした原生林。思わずたちどまって深呼吸したくなってしまいます。
原生林をしばらく歩くと急に視界が開け、ゴロゴロとした岩が広がる地帯に。
向こう側に見える山肌の黄葉が錦のように美しいです。
歩きづらい岩の道を進んでいくと、栗沢山と甲斐駒ヶ岳の鞍部、仙水峠に到着します。
仙水峠から見上げる甲斐駒ヶ岳の摩利支天。
どうやら山頂部はすっかり雲の中に隠れてしまっているようです。
雲がどいてくれることを祈りつつ山頂を目指します。
仙水峠からは急な樹林帯の登りが1時間ほど続きます。
樹林帯がだんだんとハイマツ帯になってきたら山頂はもうすぐそこ。
栗沢山山頂です。左奥に見えるはずの甲斐駒ヶ岳は残念ながら雲隠れしたままでした・・・。
アサヨ峰~鳳凰三山方面。奥に地蔵だけのオベリスクが小さく見えます。
こちらは日本第二位の高峰、北岳(3193m)。アルプスらしい堂々とした山容です。
雲間に見えた甲斐駒ヶ岳、花崗岩の山肌。モノクロにしてみるとより硬い質感に見えてきます。
甲斐駒ヶ岳は見えなかったり、ときどき雲に包まれたりしたものの、360°の高度感ある眺望を楽しむことが出来ました。
行きとは別の、直接長衛小屋へ降りる道で下山します。
テント場の夜。紅葉と天の川のコラボ
夕食は質素に、インスタントのハヤシライス、クルミとレーズンの入ったパン、アールグレイティー。
冷えて疲れた身体が暖まります。
テント場から、短い時間だけ夕焼けに染まる山頂を見ることが出来ました。明日見るであろう風景に思いを馳せます。
明日は早い時間から行動するので、六時過ぎには横になって休み始めました。
しかし、実はふかふかの布団以外で睡眠がとれない僕。なかなか寝付けませんでした。
10時を過ぎた頃、星空の様子が気になってテントから顔を出してみると、期待以上の星空が。
少し外に出て星空撮影をすることに。
満天の星空とカラフルなテント。贅沢な風景を収めることが出来ました。
いつまでも撮っていたいほど美しい風景でしたが、明日の行動に響いてはいけないので数枚撮影してテントに戻りました。
日の出を目指して未明に出発
甲斐駒ヶ岳への登りは、前日に仲良くなった同じく写真撮影をする方と二人で行動しました。
ヘッドライトの照らしている場所以外、完全な暗闇。時折鹿の声が聞こえてくる真夜中の森は、いつになっても本能的な恐怖を感じます。
白い息を吐きながら登ること2時間、森林限界を超えるとだんだんと景色が開けてきます。
山で迎える朝と夜の境界は、非現実的な美しさで登山者を魅了します。
幻想的な空気のなか、険しいアルプスの登山道を進んでいきます。
どんどんと明るんでくる東側の空。西側の空は美しいヴィーナスベルトに彩られています。
山頂で日の出を迎えたかったのですが、少し間に合わず山頂北側の稜線でご来光。
稜線の片側が朝日に照らされ、美しいコントラストを描いています。
山頂でなくこの稜線で日の出を迎えていたことは、むしろラッキーだったかもしれません。
今回私は日の出を目指して未明に行動を開始していますが、慣れていない山でのナイトハイクは大変危険ですので、十分な経験や安全対策がある場合に行って下さい。
甲斐駒ヶ岳山頂
仙水小屋から約4時間。朝日に照らされながら甲斐駒ヶ岳山頂を踏むことが出来ました。
山頂には石でできた祠が。厳しい修験の山であることを再確認させられます。
手前の峰を登る登山者と大雲海を望遠で。登山でしか撮れない迫力のある写真です。
登ってきた稜線と、奥には鳳凰三山と富士山。贅沢な眺めです。
西側の遠くには木曽の御嶽山がはっきり。秋晴れの良い朝です。
それと、下の雲にうっすらブロッケン現象による虹の輪が見えました。分かりますでしょうか?
秋の南アルプスの絶景を満喫した山行。下山の途へと向かいます。
3時間ほどかけて長衛小屋まで下山しテントを撤収します。その後またバスに乗り仙流荘へ戻ります。
全てをやり終えた後の下山はなんだか寂しい物ですが、下山して数日経つとまた山が恋しくなるのでしょう。
今回の記事で使用した機材
フルサイズ一眼レフ Nikon D750
紅葉した木々を、一本1本、葉の一枚一枚まで鮮明に写し出すことが出来ます。
ネイチャーフォトを撮るのはNikonのフルサイズ機が最もしっくりきます。
関連:使い勝手が最高なフルサイズ一眼レフ Nikon D750レビュー&作例
Nikon 70-200 f2.8 vrⅡ
山でも最高の働きをしてくれる純正大三元。
しかし、気軽に山に持って行けるサイズと重さではありません・・・。
関連:Nikonが誇る大三元「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VRⅡ」に感服!写真はレンズで決まる!
SIGMA 24-35 f2
描写性能は最高ですが、ズーム範囲が短くとにかく大きく重いため登山にはあまりオススメは出来ませんが・・・。
描写性能は最高です!!!
関連:多用途に使える単焦点並みの描写。SIGMAの24-35㎜ f2 Art 実写レビュー!!
SAMYANG 14㎜ f2.8
登山には絶対持って行きたい超広角レンズ。
壊してしまっても(経済的な)ダメージも少なく、(比較的)小さくて軽いため登山にはオススメの1本かもしれません。
関連:高コスパなフルサイズ用超広角レンズ!SAMYANG 14㎜ F2.8 の実力&実写レビュー
まとめ
紅葉の時期はそれだけでも自然の被写体に沢山恵まれています。それにも関わらず、さらに登山などに行くと被写体が多すぎてバッテリーもメモリーも足りなくなるんじゃないかというほど沢山シャッターを切ることになってしまいます。
写真を趣味とする人にとってはそれほど楽しい時間はありません。いきなり今回のような甲斐駒ヶ岳などのアルプスへ向かうのは無茶かもしれませんが、日常から離れて山の中にカメラを携えて遊びに行くことはとてもオススメです。
良い写真が沢山撮れるだけでなく、自然風景の中から被写体を見つける力が身につきます。自然の中で心のリフレッシュもできます。
ぜひ、次の週末は行けそうな山へ少し足を延ばしてみてはいかがでしょうか?
それと、登山に持って行くオススメの一眼とレンズの組み合わせはミラーレス機と高倍率ズームレンズがオススメです。
理由は単純。軽くてかさばらないからです・・・。