オリンパス 基本性能重視のOM-Dシリーズ「E-M10 Mark III」レビュー

   

OLYMPUSといえば女性から高い評価を受けている「OLYMPUS PEN(ペン)」シリーズが有名ですが, PENとは別に小型軽量でありながら本格的なスペックの「OM-D」シリーズがあるのをご存知でしょうか. 今回はそのOM-Dシリーズのエントリーモデル, OM-D E-M10 Mark IIIについて調べてみました.

E-M10 Mark IIIの外観と基本性能

前面. ミラーレスカメラですがファインダーを搭載しているので尖ったペンタ部があり, あたかもフイルム一眼レフカメラのような外観です.

背面. 露出や各種設定を変更するためのダイヤルは2つ用意されています. 背面の液晶ディスプレイはタッチスクリーンで, 上下に傾けられるチルト液晶になっています.

もともとOLYMPUSは1970年台にフイルム一眼レフの「OM」シリーズを展開しており, OM-Dシリーズはそのデジタル版とも言えます.

カラーバリエーションはブラックとシルバーの2色で, エントリーモデルでありながらどちらのカラーも高級感があります. 実物を見たときにすぐにエントリーモデルだなと気づける人は多くないはず.

発売日2017年9月15日
有効画素数約1605万画素
常用ISO感度LOW(100相当)〜25600
映像エンジンTruePic VIII
イメージセンサーマイクロフォーサーズ Live MOSセンサー
AFコントラストAF 測距点: 121点
連写撮影速度最速8.6コマ/s
動画撮影4K 30p, FullHD 60p
サイズ約121.5 x 83.6 x 49.5 mm
質量約410g(カード, バッテリー含む)

本格派「OM-D」シリーズの入門モデル

オリンパスのミラーレスカメラは一眼レフのような外観でEVFを搭載し, 高性能な「OM-D」シリーズと, 女性的な明るいデザインでオートモードやフィルター機能が豊富な「PEN」シリーズに分かれています. この「OM-D E-M10 Mark III」はOM-Dシリーズのエントリーモデル的な立ち位置のカメラです.

約1605万画素, マイクロフォーサーズ規格

オリンパスのOM-Dシリーズのミラーレスカメラは基本的に「マイクロフォーサーズ」という比較的コンパクトなイメージセンサー・マウントを採用しています.

有効画素数は約1605万画素と他社の一眼レフ・ミラーレスに比べると控えめですが, 一般的な撮影で困ることはまずないと思います.

私が普段使っている一眼レフ「Nikon Df」の画素数も約1600万画素ですが, この画素数で困ったことは殆どありません.

たかし先生

軽量コンパクトはマイクロフォーサーズの特権

マイクロフォーサーズ規格のマウント・イメージセンサーを採用することで, カメラのシステム全体を軽量に・コンパクトにしています. 高性能な一眼レフ・ミラーレスは重くて大きいと思われがちですが, E-M10 Mark IIIならそんなことはありません.

OM-D E-M10 Mark IIIのいいところ

一眼レフよりも小型軽量 

上にも書いたとおり, 一眼レフはもちろん, 他社のミラーレスカメラと比較しても軽量コンパクトです. いや, ボディが軽量コンパクトな機種はいくらでもありますが, OLYMPUS(マイクロフォーサーズ)はレンズまでコンパクトです. これについては後ほど解説.

手ぶれ補正

OM-D E-M10 Mark IIIは5軸手ブレ補正を搭載しています.

https://olympus-imaging.jp/product/dslr/em10mk3/feature.html

オリンパスは基本的にカメラ内のイメージセンサーを動かす「ボディ内手ぶれ補正(センサーシフト式手ぶれ補正)」を採用しています. カメラ側で手ぶれ補正を行うので, どんなレンズでも手ぶれ補正を行えるほか, レンズをコンパクトにできるという特徴もあります.

手ぶれ補正の強さは上位機種のE-M5 Mark IIやE-M1 Mark IIには及びませんが, それでもほかのメーカーよりも効果が強力だと思います.

タッチ対応AF

背面液晶はタッチ操作に対応しているため, メニュー画面の操作はもちろん, 画面内の被写体をタッチしてピントを合わせる「タッチAF」も可能です.

スナップ写真やポートレート写真でもすぐにピントを合わせられるので, 初心者にありがちなピンボケ写真をぐっと減らせます.

AFは, オリンパスは「ハイスピードイメージャAF」と呼んでいますが, これはいわゆる「コントラストAF」のことのようで, 一般的なシーンでは困りませんが, サッカーや野球などのスポーツ撮影では少し頼りないです.

上位機種では「像面位相差AF」が採用されていて, これは一眼レフ並に高速なのでスポーツ写真や野鳥の撮影にも対応できます.

しかし, コントラストAFでもかなりアルゴリズムが最適化されているようで, ほとんどのシーンでは一般的な一眼レフとの違いを感じられませんでした. 実際, 使い始めてからWebサイトで確認するまで, ずっと像面位相差AFなんだと思っていたくらいです.

EVF(ファインダー)搭載, ディスプレイはチルト式を採用

OM-Dシリーズはすべて一眼レフのようにファインダーが内蔵されています.

もちろん背面液晶ディスプレイで画像を確認しながら撮影する(ライブビュー撮影)事もできますが, ファインダーを使って撮影することで特に望遠レンズを使用するときに起こりやすい手ブレを防ぐことができます.

一方で背面の液晶ディスプレイはチルト式になっており, 上下方向に傾けることができます. このため地面すれすれのローアングル撮影や, 三脚にセットしてじっくりと構図や露出を確認しながら撮影することができます. 上位機種ではバリアングル式が採用されていますが, E-M10 Mark IIIではなぜかチルト式になっています.

気軽に本格的な写真を撮影できる「アドバンストフォト」モード. 人気の「アートフィルター」も

ミラーレスカメラは様々な撮影テクニックを使って印象的な写真を撮影できるのが魅力の一つですが, 多重露出やHDR撮影といったテクニックを誰でもカンタンに楽しむことができる「アドバンストフォト」モードが搭載されています.

画像編集ソフトを使わずともプロ並みの写真を撮影できるので, ミラーレスカメラを使い始めたばかりという方におすすめです.

https://olympus-imaging.jp/product/dslr/em10mk3/feature4.html

また, 誰でもカンタンに印象的な写真に仕上げられる, 人気の「アートフィルター」も15種類搭載されています. アートフィルターを使えば何気ない風景すらポップな雰囲気やノスタルジックな世界に表現できます.

もちろん, 「夜景を撮る」や「動きのあるものを撮る」のようなシーンを選択して最適な設定で撮影する「シーンモード」や, 細かい設定はすべてカメラ任せの「AUTOモード」も搭載されているので, 絶対に失敗できないという場合でも安心です.

OM-D E-M10 Mark IIIのここがイイ
  • 一眼レフよりも小型軽量. 普段から持ち歩ける高画質カメラ
  • 強力な手ぶれ補正のほか, EVFやチルト液晶を搭載していて本格的
  • 人気のアートフィルターで印象的な写真に仕上げられる

上位機種「OM-D E-M5 Mark II」との比較

OLYMPUSのOM-Dシリーズは現在

  1. 縦位置グリップ一体型の「OM-D E-M1X」
  2. プロフェッショナルモデルの「OM-D E-M1 Mark II」
  3. ミドルクラスの「OM-D E-M5 Mark II」
  4. エントリークラスの「OM-D E-M10 Mark III」
  5. E-M10 Mark IIIの旧機種「OM-D E-M10 Mark II」

の5機種がラインナップされており, E-M10 Mark IIIの上位機種はミドルクラスの「E-M5 Mark II」となります.

E-M5 Mark IIは防塵防滴仕様

E-M5 Mark IIは雨の中でも撮影できる防塵防滴仕様で, さらに-10℃まで耐えられる耐寒性能があります. 登山やキャンプなどのアウトドアでアクティブに撮影する方にとっては天候の変化につよいE-M5 Mark IIの方が頼もしいでしょう.

E-M10 Mark IIIは防塵防滴仕様ではなく, 耐寒性能もない(使用可能温度は0℃〜)ため注意が必要です.

E-M5 Mark IIの方がAFが高速

E-M5 Mark IIは像面位相差AFに対応しているのでオートフォーカスが高速で, 特に野鳥撮影や飛行機・鉄道の撮影で威力を発揮します.

E-M10 Mark IIIはいわゆるコントラストAFなので, 動体撮影ではAFが迷う時があるかもしれません. 風景写真や一般的なスナップであれば大きな差はありません.

E-M10 Mark IIIは4K動画の撮影に対応している

E-M10 Mark IIIは4K動画の撮影に対応していますが, 上位機種のE-M5 Mark IIは対応していません. これは機種のグレードというよりも, 単にE-M5 Mark IIの発売が2015年と古めだからだと思います.

それ以外にも, 若干の違いはあるが……

それ以外にもE-M5 Mark IIはE-M10 Mark IIIに対して

  • 1/8000秒のフォーカルプレーンシャッターが使える
  • 背面のディスプレイがバリアングル液晶
  • 全体的にカスタマイズ性が高い

といった優位点があります. しかしどちらも基本的な性能は同じ(有効画素数は同じ約1605万画素で, 常用ISO感度も最大25600まで)です. 何よりもE-M5 Mark IIは発売から年数が経っているので, もし最初の一眼カメラを検討しているのなら, E-M10 Mark IIIをおすすめします.

PENシリーズとの比較は?

冒頭にも述べたとおり, オリンパスには本格的な「OM-D」シリーズとは別に「PEN」シリーズもあって, OLYMPUS PENシリーズは特に女性から高い評価をされています.

私の周りにもPENシリーズを使っている人が何人かいます. 世間一般ではPENシリーズのほうが認知度が高いのかもしれません.

PENシリーズで人気なのは「PEN E-PL9」ですが, E-PL9とE-M10 Mark IIIでどちらにしようか迷う人も多いと思います.

初心者女子でも手軽にプロ並みの写真を撮れる!OLYMPUS PEN E-PL9レビュー

フィルター系の加工機能はPENシリーズのほうが豊富

何気ない風景を印象的な写真に変える「アートフィルター」はどちらの機種にもありますが, E-PL9には新しく「ネオノスタルジー」が追加され合計で16種類から選択できます.

新アートフィルター「ネオノスタルジー」は公式サイトにて

人の肌に温かみをもたせ、暗部に緑がかった深みを与えることで、ノスタルジックな雰囲気を残しつつ現代風に仕上げます。フラッシュを使った人物撮影でより効果を発揮します。

と説明されています.

明るい部分がマゼンダに, 暗い部分は緑色にコケます.

ひとことメモ
「ネオノスタルジー」以外のアートフィルターはE-M10 Mk. IIIでも選択できます.

手ぶれ補正はE-M10 Mark IIIが一歩リード

どちらの機種もカメラ内のイメージセンサーを動かして手ブレを補正する「ボディ内手ぶれ補正」の機種ですが, E-M10 Mark IIIの方がより高度な手ぶれ補正を搭載しています.

E-M10 Mark IIIは5軸手ぶれ補正に対応し, 角度ブレ・回転ブレのほかに特にマクロ撮影時に発生しやすいシフトブレの補正にも対応しています.

補正効果はシャッタースピード4段分で, 上位機種のE-M1 Mark IIなどには劣るものの, ミラーレスカメラの中でもかなり高い方だと思います.

一方のE-PL9は3軸, シャッタースピード3.5段分にとどまっています. 一般的な撮影ではこれでも十分だと思います.

E-M10 Mark IIIにはファインダーがある

E-M10 Mark IIIにはEVF(電子ビューファインダー)がついていますがE-PL9にはありません.

ファインダーを使って撮影するほうが, カメラが体に密着するため手ブレが発生しにくいという長所があります.

特に望遠レンズを使ってスポーツや野鳥撮影をしたいときにはファインダーは必須ですね.

たかし先生

それ以外の基本性能はどちらも同じ

有効画素数はどちらも約1605万画素, 常用ISO感度はどちらも最大25600となっており, イメージセンサーや画像処理エンジンはどちらも同じものが使われているようです.

AF性能も同じで, 近年主流になりつつある像面位相差AF! ……ではなく「ハイスピードイメージャAF(いわゆるコントラストAF)」を採用しています. コントラストAFは動体撮影では厳しいところもありますが, 一般的なスナップや風景写真であれば十分高速です.

ここまでのまとめ
  • OM-D E-M10 Mark IIIは強力な手ぶれ補正が強み
  • PEN E-PL9には新アートフィルター「ネオノスタルジー」がある
  • それ以外の基本性能はだいたい同じ

ファインダー付きでじっくりと撮影したい人はOM-DシリーズのE-M10 Mark IIIを, スタイリッシュなデザインでファッションの一部としてカメラを使いたい人にはPENシリーズのE-PL9をおすすめしたいところ.

ひとことメモ
どちらも「マイクロフォーサーズ」規格のカメラなので, どちらのカメラでも同じレンズを使うことができます.

E-M10 Mark IIIは旅行と相性がいい

私がE-M10 Mark IIIの使い方としてイチオシしたいのがちょっと遠めの旅行に持っていく, いわば「旅カメラ」的な使い方です.

旅行先で写真を撮るときにスマホのカメラではちょっと味気ないですし, かといって大きな一眼レフや本格的なミラーレスカメラを持っていくのも大変です.

E-M10 Mark IIIは高画質で本格的な写真も撮れるカメラですがほかの一眼カメラと比較してそこまで大きくなく, 常時首から下げていたりカバンからサッと取り出して撮影することができます.

カメラの撮影メニューも「HDR撮影」や「パノラマ撮影」といった本格的な撮影を簡単にでき, Wi-Fiでスマホに写真を転送できるので撮ったその場で本格的な写真をSNSに投稿できます.

Old Tbilisi

cat280, citizen of Tbilisi

St Mary's Island.

AF性能は控えめですが, 旅行中の風景写真やスナップ写真の撮影が目的なら大きな問題にはなりません. スマホやコンパクトカメラよりも暗い場所にも強いので, 日没後の撮影でもキレイです.

OM-D E-M10 Mark IIIで使いたいレンズたち

ミラーレスカメラはレンズを交換することでいままでに撮れなかった様々な写真を撮影できます. OM-Dシリーズは「マイクロフォーサーズ」という規格を採用しており, マイクロフォーサーズ規格の交換レンズを使うことができます.

マイクロフォーサーズ規格のレンズはAPS-Cサイズのミラーレス用交換レンズやフルサイズ一眼レフ用交換レンズよりも軽量コンパクトなのが特徴です.

マイクロフォーサーズ規格のレンズはOLYMPUS以外にもパナソニックやシグマ, タムロンなどのいくつかのメーカーから販売されていますが, まずはOLYMPUSのレンズから使ってみるのがいいと思います.

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3

フルサイズ換算で24〜400mm相当の, 倍率16.6倍の「高倍率ズームレンズ」です. 

広角から望遠までカバーしているので, これ一本で様々な写真を撮影できます. 荷物の量が減るのはもちろん, レンズ交換の手間を省けるのでシャッターチャンスも増えます.

ディズニーランドのパレードの撮影だと広角から望遠まで必要になります. そういうときに便利ですね

たかし先生

なお, ズーム全域で開放F値が変動しないタイプ(M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO)もあります.

M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8

ズームができない「単焦点レンズ」です. 

ズームレンズと違って開放F値が小さいため, 背景をグッとぼかした写真を撮影できます.

また, 画質にこだわって設計されているため, 本格的なポートレート写真や, テーブルフォトにも使えます.

背景がボケやすいのを活かして, イルミネーションの撮影にも向いています.

M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro

小さなものを大きく写すことができる, いわゆる「マクロレンズ」です. マクロレンズの詳しい解説は下の記事で書いています.

【マクロレンズの魅力とは?】カメラギークのつぶやき(レンズ編)

このレンズはフルサイズ換算で120mm相当の焦点距離になるので, 中望遠マクロレンズといえます. そのため近づいて撮影できない昆虫や小動物, 植物などの撮影に向いているレンズです.

もちろんイヤリングやブローチなどの小物を大きく写して撮影することもできます.

背景のボケがきれいなので, ポートレートの撮影にも使えますね.

まとめ

OM-D E-M10 Mark IIIはOM-Dシリーズのエントリークラスということもあって, めちゃくちゃ高性能だったり他の機種と比較して際立った点があるわけではありません.

しかし, 基本性能がしっかりしていて, なおかつカメラ始めたばかりという人でもとっつきやすい撮影モードがあり, すでに一眼レフやミラーレスを使っている人からすれば性能・機能面で物足りない部分もあると思いますが, これから写真を始める! という人にぜひおすすめしたいカメラです.