- SAMYANG 14㎜ F2.8の値段
- SAMYANG 14㎜ F2.8の実力
- SAMYANG 14㎜ F2.8の短所
SIGMAの超望遠レンズについての記事はこちら
→超望遠入門ズームレンズ!SIGMA 150-600mm Contemporary 実写レビュー
目次
他のレンズでは味わえない、SAMYANG14mmF2.8の超広角の世界
超広角レンズは、普段私たちが両目で見えている以上の広さを写す事が出来ます。
風景を広くダイナミックに描写することが可能です。
氷瀑をすぐ近くから見上げて撮った一枚。
両目で見えている以上の広さを写せると書きましたが、超広角は意外と肉眼で見た印象に近くその場で見渡した風景を鮮明に再現してくれる画角でもあると私は思います。
超広角はパース(遠近感)を最も表現できる画角でもあります。
上の作例を見て分かるように、「この部分は近く、あの部分は遠くにある!」という場面説明ができます。
関連:一眼レフ・ミラーレスで登山の風景を美しく撮るために知っておきたいテクニック
レンズの画角ごとの詳しい解説はこちらの記事でしています。

でも明るいフルサイズ一眼レフ用超広角レンズって高価なものばかりじゃないの…?
唯一無二の写りをしてくれる超広角レンズ。しかし、F値が低い超広角レンズはかなりのお値段がしてしまいます。
こちらは星景撮影で高い評価を得ているシグマの14㎜F1.8。
星景撮影においてはレンズは明るいほど使いやすいのですが、こちらのレンズは15万円以上の高額。
純正でも10㎜台をカバーする明るいレンズはだいたい10~10数万円ほどの価格になってしまいます。
そこで今回オススメするのが、コスパの高いSAMYANGの超広角レンズです。
SAMYANG()とはどんなメーカーなのか。レンズの品質は?
コスパに優れ近年勢いのあるレンズメーカー、SAMYANGとは
SAMYANGは韓国のレンズメーカーで、日本での販売はレンズフィルターで有名な「ケンコー・トキナー」が輸入代理店をしています。
MFの単焦点レンズが主流で、今回紹介する14㎜F2.8以外にも35㎜F1.4 や85㎜F1.4など多くの製品で高いコストパフォーマンスを実現しています。
レンズの品質と評価について
私も最初にSAMYANGのレンズを知っていろいろと調べましたが、レンズの種類や購入したユーザー層によって評価は様々あるようでした。
レンズの組み立ての際に生じるレンズの個体差というのがあり、それによって片ボケ(画面の一部でピントがずれてしまう現象)が生じていたり、無限遠が出なかったりといった声もありました。
コスパを考えれば、軒並み十分な品質な物が出されているのでは無いかと私は思います。
特に35㎜F1.4はかなり良い描写をするようで、価格比較サイトなどで高い評価がすでになされているものは十分購入に値するでしょう。
SAMYANG 14㎜ F2.8ED AS IF UMC 外観と操作性。AF無しでも満足な性能!
SAMYANG 14㎜ F2.8ED AS IF UMCの外観
キャップをした状態。前玉が大きい超広角レンズらしく、かぶせ式のキャップです。
真横から撮影。前玉が大きくせり出しています。いわゆる“出目金レンズ”ですね。
このレンズ、フィルターは直接装着できない仕様になっていますので、フィルタ-を使用したい場合は角形フィルターという板状のフィルターが必要になります。
花形のレンズフード。
超広角のレンズフードは多くの場合、レンズと一体型となっているため取り外しが出来ません。
レンズフードについての記事はこちら
→レンズフードの全てがわかる!レンズフード付ける2つのメリット
大きさはこのくらい。
フルサイズ用の明るいレンズらしく、そこそこの大きさと重さがありますが、重さは気になるほどではありません。
レンズの形自体が凸型をしているので、収納の際にかさばるようには感じるかもしれません。
フルサイズ機では無いですが、D7500に装着してみました。私は普段D750に装着して使っているのですが、ちょうど良くバランスの良い大きさで使いやすいです。
上からの画像。やはり前玉とフードの部分が大きいです。
SAMYANG 14㎜ F2.8ED AS IF UMCの操作感
ピントリングはほどよく重く、星を撮る時などライブビューを見ながらの緻密なピント合わせをするときに助かります。
絞りリングが付いていますが、デジタルカメラでこのレンズを使用する場合は使用しません。
実はこの絞りリングに購入時とても困らされました…(私が無知だっただけなのですが。)
Nikon用では絞りリングを使おうとするとエラーに?故障・不良品と勘違いする前に機能確認を…
この絞りリングはフィルムカメラで使用する場合に操作するための物で、デジタル一眼レフカメラで使う場合このレンズは自動絞り(リングを手動で操作しないでもカメラが絞りを動かしてくれる)なのです。
絞りリングのF22に当たる部分(赤く22と書かれているところ)に指標を合わせることで自動絞りになり使用可能になります。それいがいのF値の部分に合わせてしまうとエラーになってしまうようです。
そうとも知らず私は最初に使おうとしたとき、F2.8の部分に合わせて使おうとしてエラーしか出ず、本気で不良品かと思ってしまいました・・・
Nikon用のものをデジタル一眼レフカメラで使用する場合、F22に絞りリングを合わせてから使い始めましょう!
APS-Cサイズカメラでの使用感
APS-Cサイズカメラでは14㎜の画角が約1.5倍となり、21㎜ほどの広角となります。
APS-C用の標準ズームレンズの広角側が16㎜や18㎜なので、それより少し広く写せます。
→NikonのAPS-C(DXフォーマット)一眼レフ徹底比較!D500,D7500,D7200
→中級APS-C一眼レフ、NikonD7500,CanonEOS80D比較
人気の秘密はマウントの多様性?キャノンEFやニコンF以外にもミラーレスのSONY Eマウント用やPENTAX Kマウント用まで!
サードパーティー(社外品)レンズらしく、SAMYANGの主力レンズは多様なマウントに対応しています。
このレンズもそうですが、物によってはSIGMAやTAMRONよりも一つのレンズで多くのマウントに対応しています。
SAMYANG 14㎜ F2.8 描写性能に関して。
SAMYANG 14㎜ F2.8ED AS IF UMCの解像度
解像度は非常に高く、細かい部分まで写し出してくれます。三脚を据えF8あたりまで絞り込んで風景を撮影すれば、ビシッとはっきりした画像が得られます。
この後にも書くのですが、周辺部は中央部が非常に解像感があるのに比べて画質が劣り、流れたような写りになってしまいます。
歪曲について
東京駅を正中から水平に捕らえた写真。後ろのビルが大きく内側に傾いているように見えるように、大きく歪曲が生じています。
この写真のように中央で水平線を捉えれば、水平線での歪曲は気にならないのですが・・・
この写真を見るとゆがみがはっきり分かります。本来手前にある手すりや庇はまっすぐなのですが、画面の周辺部へいくほどグニャグニャと波打った形になってしまいます。
画面内にまっすぐな地平線や海などの水平線が入ってしまう風景写真や、建築写真を正確に撮るのには向いておらず、注意が必要かもしれません。
周辺部の流れ
周辺部に細かな柄となる被写体が来てしまうと、外側に伸びるような流れた描写になってしまい、画質もその部分で劣っている印象です。
見せたい被写体は周辺部には置かない方が良さそうです。
周辺光量落ちについて

F2.8(解放)で撮影。
大口径なレンズなだけあり、解放に近いF値で撮影すると周辺光量落ちによって画面周辺部が暗く写りがちになってしまいます。
それはそれで味がある表現として捉えられる方もいるようですね。私の場合はF5あたりまで絞り込めば気にならなくなります。
SAMYANG 14㎜ F2.8 の作例
松本城とお堀のリフレクション。松本城はお堀のすぐ近くから撮影すると意外と近く大きく見えます。
そのため標準域ではお城で画面いっぱいになってしまい、24㎜の広角でもリフレクションを入れようとすると画面が窮屈になってしまいます。
14㎜なら近く大きな被写体でも画面に余裕を持たせて撮影することが出来ます。
建築物を撮るのには向かないと先ほど書きましたが、直線の配置に気をつければ超広角の建築写真らしい空間表現が出来ます。
超広角の特徴の一つとして、その場の空間を最大限に表現出来ることがあります。特に室内の部屋の広がりなどは、超広角でしか表現できない部分が多くあります。
古民家にいた黒柴の写真。F2.8なだけあって、ピントを手前に持ってくれば十分に背景をぼかすことが出来ます。
しかし、広角の場合どこにピントが来ているのかがつかみづらいので、練習が必要です。
トリひこ君
この写真のように、動物や人を超広角で撮ると歪みによってユニークな描写になり、背景も広く写せるので状況説明も出来ます。
森の中の清流を写した一枚。
低く構えることで手前の水流と奥に広がってゆく森を、遠近感を強調しながら描写することが出来ました。
右下のあたりの前ボケがすこし流れ気味に写ってしまったのがすこし残念。
広がる風景とベンチに座る人物。超広角はそのまま遠くの風景だけを写すと遠近感を失ってしまいがちになります。
手前に人物などの被写体を入れることで広がりを持ったダイナミックな風景とサイズ感の対比が出来、奥行きを感じさせる絵になります。
SAMYANG 14㎜ F2.8ED AS IF UMCのレビューまとめ
SAMYANG 14㎜ F2.8 の有用性、お分かりいただけたでしょうか?
超広角レンズが欲しいけど、高くて手が出せない…でも超広角の写りを味わってみたい…。
そんな方には絶対にオススメのレンズです。もう1レベル上の風景写真や星景写真、ユニークな遠近感の効いた描写を、ぜひこのレンズでまずは体感してみて下さい!
SAMYANG 14㎜ F2.8を実際に使用している記事がこちら
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