この記事を監修した専門家

外壁を触ると手に粉がつくチョーキング。粉のみでほかに目立った劣化現象がないからと、放置してしまっている方も多いのではないでしょうか?

実はその判断はNGです!
チョーキングは外壁の劣化を知らせるサインです。放置すると様々なトラブルに繋がります。
本記事ではチョーキングの実例・放置するリスクや原因、予防対策まで全て解説します。
押さえておくべきこと
- チョーキングの主な原因は紫外線や気候変動による劣化。
- チョーキングを放置すると雨漏りの原因に。
- 手で触ると白い粉がつく・濡らすと色が変わるのはチョーキングのサイン。
- チョーキングを予防できる外壁材や塗料がある。

外壁塗装のチョーキングとは?
チョーキングって何?【実例を写真付き解説】
外壁塗装のチョーキングとは、外壁の塗料が白っぽく粉っぽくなってくる現象です。たとえば、壁を触ったときに白い粉が手につくような感じです。
チョーキングが進むと、壁を守る塗料の役割が弱まったりします。なのでチョーキングが見つかったら、新しく塗り直すなどの対策が必要になることが多いです。
以下が実際にチョーキングが起きている外壁の実例になります。

チョーキングが見つかったらどうすればいい?
チョーキングを発見したら、まずは塗装業者に連絡しましょう。放置すると塗装面の保護機能が低下し、建物自体の寿命に影響を及ぼす可能性があります。

塗装業者は無料点検でチョーキングの状態を正確に把握し、適切な対処法を提案してくれます。
塗装業者を選ぶ際には、経験豊富な業者を選び、できれば口コミや評判を確認すると良いでしょう。早めの対応が大切なので発見したらすぐに行動に移しましょう。
要注意!外壁塗装でチョーキングが起きる【4つの原因】
外壁塗装でチョーキングが起こるのには4つの原因があります。ここでは外壁の塗装にどのような問題が起きてチョーキングが起こるのかを解説していきます。
原因1:紫外線による劣化
外壁のチョーキングは紫外線が原因で起こります。塗料は太陽光に含まれる紫外線を浴び続けると劣化し、塗料成分(樹脂・顔料・添加剤など)の分離を引き起こしてしまうからです。

紫外線による劣化は経年劣化であり、使用している塗料にもよりますが、前回の塗装から10~15年経つと起こる場合が多いです。
原因2:塗料の品質が悪い
外壁塗装のチョーキングは、塗料の品質が悪いと起こりやすくなります。正しい成分や適切な量が配合されていないとチョーキングなどの劣化が生じやすいです。とくに耐候性の弱い塗料や、二液系の塗料で硬化材の量を誤ると、チョーキングは早まります。
原因3:塗装工事の施工不良
塗装工事を行ったときの施工不良でチョーキングが起こります。立地環境や塗装手順、塗料の希釈量など、どれか1つでも間違えれば外壁の耐久性は低くなり、チョーキングのような劣化症状が出てきやすくなるためです。
塗装工事の施工不良
- 塗装後の乾燥時間が不足していた
- 雨でも作業を続行した
- 3度塗りを行わなかった
- 希釈剤の量を間違えた
- 塗布量が足りなかった
- 下塗り材と中塗り、上塗り塗料の相性が悪かった

紫外線や湿度といった立地環境を考慮しないで塗料を選ぶと、外壁の劣化が早まるので注意が必要です。特殊な地域に住んでいてチョーキングが生じていたら、塗料の問題を疑いましょう。
原因4:気候や環境による劣化
気候や環境による経年劣化で外壁のチョーキングが生じている恐れがあります。紫外線同様、日光や雨風は外壁の成分を分離させやすく、顔料が元の粉に戻ってしまうためです。
とくに明るい外壁色に多く含まれる白色顔料(酸化チタン)は粉に戻りやすく、気候や環境の影響を受けやすくなります。黒や濃い色の外壁にチョーキングが起きないわけではありませんが、気候や環境の影響は受けづらいです。
チョーキングを放置するとどうなる?家の価値低下の危機
チョーキングは外壁の劣化サインなので、放置すべきではありません。チョーキングを放置するとどんなトラブルが発生するのか、抑えておきたい3つのポイントを紹介します。

チョーキングを放置するとどんなトラブルが発生するのか、抑えておきたい3つのポイントを紹介します。
防水機能が低下し雨漏りする
チョーキングを放置すると外壁の防水性が低下し、ひび割れや雨漏りを引き起こす恐れがあります。
防水機能の低下によって生じるトラブルは、雨漏りだけではありません。チョーキングを放置すると外壁が雨水を吸収するようになり、藻やコケ・カビの発生を促してしまいます。
ひび割れや雨漏り・カビなどの発生は、チョーキングが生じている箇所全体に起こりうる問題です。


外壁だけでなく室内環境を守るためにも、チョーキングの放置はNGです。
サイディング外壁は反りが発生する
チョーキングが起きて防水性が低下するとサイティングが水分を吸収します。水分を吸収して脆くなったサイディングは、反りも発生しやすくなります。反りは劣化症状の中でも末期レベルで、すぐにでも補修工事が必要な症状です。


自然と元に戻ることはなく、雨や風が外壁内部に入ってくる恐れもあります。
外壁の美観が損なわれる
チョーキングが発生し外壁の防水機能が低下すると藻やコケも付着・反りが見ら美観が損なわれます。
藻やコケ、カビによる黒ずみや外壁の反りは、機能面も美観も悪くなる重大な劣化症状です。

悪徳業者のターゲットになる
チョーキングは悪徳業者が寄ってきやすいので注意が必要です。チョーキングは目視で確認できる明らかな劣化症状。補修工事が必要であるため、悪徳業者が急いで工事をさせようとしてきます。
とくに訪問販売の業者には注意しましょう。チョーキングは放置してはいけない劣化症状の1つですが、すぐに実害が大きくなるような症状ではありません。

安心して任せられる業者を選び、外壁の機能を高める工事ができるよう準備しましょう!
チョーキングから家を救う【5つの補修ステップ】
チョーキングを改善するためには、5つのステップを踏んで補修を行います。基本的にDIYはNG。プロに頼んだ方がきれいで長持ちし、外壁としての機能も高めてくれます。
具体的にどんな補修ステップがあるのかを解説していきます。

- ステップ1:洗浄と表面の準備
- 新たに塗る塗料と外壁を密着させるため、高圧洗浄で外壁についた細かい汚れやチョーキングの粉を取り除きます。洗浄後は乾燥を待ち、塗料を付着させたくない部分の養生を行います。ここまでが基本的な表面の準備です。
- ステップ2:劣化した部分の削り取り
- 新しい塗料を塗る前に塗布部分を平らで綺麗な状態にすると、塗料が密着しやすくなります。
特に気を付ける箇所は「劣化した部分の削り取り」、「ひび割れの補修」、「コーキングの打ち替え」です。どの方法で下地処理を行うかは自分で判断せず、専門の業者に相談しながら行うようにしましょう。
- ステップ3:下塗り(プライマー)の塗布
プライマーとも呼ばれる下塗りは、機能面や美観を保つ重要な工程です。また中塗りや上塗りの塗料とは違う成分の塗料を使用します。プライマーの目的は「外壁と塗料を接着させる」と「外壁材への塗料の染み込みを防ぐ」です。
- ステップ4:中塗りの塗布
- 中塗りは下塗りの色を隠し、上塗りのための平滑な塗膜を作るために行います。悪徳業者は中塗りの工程を省いて、二度塗りで完結させるケースがあります。業者に補修工事を依頼するときは、必ず三度塗りで仕上げてくれるかを確認し、外壁の耐久性を高められる塗装がされるかをチェックしましょう。
- ステップ5:上塗りの塗布と仕上げ
- 上塗りは塗膜に厚みをつけ、外壁がきれいな仕上がりになるように行います。上塗りの塗料は中塗りの塗料と同じものを使う場合が多いです。塗料は液体なので乾燥すると気泡が生じやすく、塗りムラになる恐れが高くなります。上塗りを行えば塗膜がきれいに補正され、建物の美観だけでなく外壁の耐久性も高めてくれます。

チョーキングが進行中?簡単チェック方法
自宅の外壁でチョーキングが進行しているかどうかを確かめる方法が2つあります。どちらもすぐにチェックできる方法なので、まだチョーキングが起きているかどうかわからない方は、ぜひ確認してみてください。
確認するときは、紫外線の当たり方や雨風、日光の当たり方で劣化速度は変わります。外壁の一部分ではなく複数箇所を確認するようにしましょう。
素手で触ると白色の粉が付着する
もっとも代表的な確認方法が、素手で触って白色の粉が付着するかどうかを見る方法です。チョーキングが始まっている場合、紫外線や劣化によって分離した顔料が手に付着します。
粉がうっすら手につくようであれば劣化が始まっているサインなので、外壁の塗り替えを検討するのがおすすめです。もし手にびっしりと粉が付着したら、劣化が進行して末期に差し掛かっている恐れが高いため、すぐに専門業者に問い合わせてください。

また、粉の色は外壁の塗料の色なので、白色とは限りません。グレーの外壁ならグレーの粉が、緑の外壁なら緑の粉が付着します。

手で触って粉がつくものの外壁とは明らかに違う色であれば、外で待っている塵や埃といった汚れの場合もあります。
濡らすと色が変化する
外壁を水で濡らして色が変化したら、チョーキングが進行しているサインです。チョーキングが進行していると外壁の防水機能が低下しているため変色します。
わざわざ水をかけなくとも雨の日と晴れの日で外壁の色が変わったら、チョーキングが発生している恐れが高いと考えましょう。


防水機能が低下していると雨漏りやカビの原因となるので、変色に気づいたらすぐに専門業者に相談しましょう!
外壁塗装でチョーキングを予防する【3つの方法】
チョーキングを見つけて再塗装するときは、下記3つのポイントを参考に工事を依頼してみてください。
チョーキングが起きにくい外壁材を選ぶ
チョーキングが起きにくい外壁材を選べば、チョーキングによる劣化を予防できます。外壁材をレンガやタイルに変えれば、塗料を使わないためチョーキングは発生しません。
ただし、外壁の素材を変更するには、180万〜280万を相場とする外壁塗装の倍以上の費用が必要になります。工期も平均して約1か月かかるため、大規模な修繕工事となります。

外壁材の変更は予算に余裕があったり、何度塗装してもトラブルが改善しない人におすすめです。
| チョーキングが発生しやすい外壁材 | チョーキングが発生しにくい外壁材 |
|---|---|
| モルタル外壁 | レンガ |
| 窯業サイディング外壁 | タイル |
| 金属系サイディング外壁 | 自然石 |
耐久性の高いフッ素樹脂塗料を使う
チョーキングの予防には、フッ素樹脂塗料がおすすめです。フッ素樹脂塗料は耐久性や耐候性が高い塗料であるため、紫外線や天候のダメージを受けても劣化の進行を抑えられます。
外壁への密着度も高く、建物と塗料の間に隙間を作らないので、強固に家をガードできます。チョーキングの大敵は紫外線ですが、フッ素樹脂はフッ素と炭素の結びつきが強く、紫外線からも破壊されないのが最大の特徴です。

ただし、耐久性や耐候性が高い分、人気のシリコン塗料に比べるとやや高価な塗料です。
| フッ素樹脂塗料 | シリコン塗料 | |
|---|---|---|
| 耐久年数 | 15年以上 | 8〜15年 |
| 費用 | 3,800円~4,800円/㎡ | 2,300~3,500円/㎡ |
| 色 | ツヤあり塗料のみ | 幅広い色に対応 |
色の選択肢はあるものの、ツヤがある仕上がりしか選べないので、外壁全体をマットな色で仕上げたい方には不向きな塗料です。
チョーキングが起きにくいラジカル塗料を選ぶ
チョーキングを予防するためには、チョーキングが起きにくいラジカル塗料を選ぶのがおすすめです。ラジカル塗料は、チョーキングを引き起こす原因である活性酸素「ラジカル」の働きを抑制する効果があります。
耐久年数は人気の高いシリコン塗料と同じ8〜15年ほどと長いので、今後の塗り替えの頻度を抑えられます。費用もシリコン塗料とほとんど差がありません。
| ラジカル塗料 | シリコン塗料 | |
|---|---|---|
| 耐久年数 | 8〜15年 | 8〜15年 |
| 費用 | 2,200~4,000円/㎡ | 2,300~3,500円/㎡ |
| 色 | 淡色が多い | 幅広い色に対応 |

ただし、ラジカル塗料の主成分である高耐候酸化チタンは白色顔料であるため、黒や濃いグレー、濃紺などの深みのある色や濃い色は選べない場合が多いです。
外壁塗装のチョーキングでよくある質問
- チョーキングがあると見積もり時に追加費用は発生しますか?
- チョーキングの状態によります。重度であれば下地処理や補修が必要となり、これには追加費用が発生する可能性があります。具体的な金額は施工業者に確認してください。
- チョーキングは自分で対処できますか?
- 素人が行うと劣化が進行しやすいため、専門の業者に任せることをおすすめします。
- チョーキングは何色の塗装でも起きますか?
- はい、何色の塗装でもチョーキングは起こり得ます。ただし、暗色塗料は紫外線による影響を受けやすいため、注意が必要です。
- チョーキングが起きている部分だけ塗り替えればいいですか?
- チョーキングが見つかった場合、他の部分も同じ状態になる可能性が高いです。全体の点検・塗り替えを考慮してください。
外壁塗装チョーキングのまとめ
もしもチョーキングを発見したら、すぐに専門の業者に連絡し塗装工事を依頼する必要があります。
押さえておくべきこと
- チョーキングの主な原因は紫外線や気候変動による劣化。
- チョーキングを放置すると雨漏りの原因に。
- 手で触ると白い粉がつく・濡らすと色が変わるのはチョーキングのサイン。
- チョーキングを予防できる外壁材や塗料がある。


