サイディングの張り替えは必要?費用からタイミングまで徹底解説

外壁の色褪せやひび割れから考えるようになったサイディングの張替え。ネットではサイディングを張り替えるべきとの声が多いものの、時期や費用を考えると張替え工事を躊躇してしまう人もいるのではないでしょうか。

今回は、外壁のサイディングの張り替えについて詳しく紹介します。費用相場や張り替えのタイミング、メリットやデメリットも細かく解説するので、今まさにサイディングの張替えについて悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

おさえておくべきこと

  • サイディングの張り替えは、劣化症状や経過年数によって決まる
  • サイディングの張り替えに必要な費用相場は約200万円
  • 取り外したサイディング処分費用が必ず必要になる
  • サイディングの張り替え工事期間は30日が一般的

サイディングの張り替えは本当に必要?

サイディングの張り替えは、劣化症状や経過年数によって必要かどうかが決まります長年張り替えをしていなかったり、劣化している部分を放置してしまうと、その箇所だけでなく内部まで劣化して外壁の耐久性が脆くなるためです。

ここでは具体的な張り替え時期や、張り替えが必要な劣化症状とはどのようなものなのか、詳しく解説していきます。

サイディングの張り替えとは?

サイディングの張り替えとは、現在のサイディングを全て剥がし、新しいサイディングを張る工事のことです。部分補修や塗装、重ね塗りといった補修作業では補えない劣化症状がある場合に必要とされる場合に行います。

また、サイディングの張り替えを行うと、雨水の浸入箇所を再度防水処理をするので、50年前後の建物寿命を延ばすことが可能です

山下さん

サイディングが劣化すると防水性や耐震性が低くなり、放置すれば症状は進行していきます。

山下さん

外壁が劣化したらサイディングの張り替えを行いましょう。

張り替えが必要なサイディングの劣化状態

張り替えが必要なサイディングの劣化症状は、下記を参考にしてください。

張り替えが必要な劣化症状

  • 色褪せ
  • サビや腐食
  • 塗膜の膨れや剥がれ
  • チョーキング
  • 下地の劣化
  • 外壁を押すと柔らかい、ふかふかする
  • 反りやひび割れ
  • ボロボロ崩れ落ちたりする

とくに少し触るだけで崩れ落ちたり、硬いはずの外壁が柔らかくなっている場合は、内部まで劣化が進行している可能性があります。これらの症状に当てはまる場合はなるべく早めに点検を依頼しましょう。

経過年数25年がサイディング張り替えの目安

前回サイディングの施工をしてから25年が経っている場合は、目立った劣化症状がなくてもサイディングを張り替えるようにしましょう。部分補修や重ね塗りをしてメンテナンスを行っていたとしても、サイディングそのものの経年劣化があるためです。

サイディングが劣化したままだと、外観が綺麗でも耐久性は落ちてしまいます。建物の耐久性が低いということは、家の傾きや倒壊に繋がる恐れもあるので、経年劣化の目安である25年を迎えたら張替えを検討するようにしましょう。

サイディング張り替えの工事期間は30日

サイディングの張り替えにかかる工事期間は、30日程度です。サイディングの張り替えは大規模な補修工事となるため、建物の大きさや気候によってはそれ以上の期間を要すると認識しておきましょう。

山下さん

既存のサイディングを剥がすのに約14日、新しいサイディングを張るのに約10日かかります。その後、エアコンや給湯器を元に戻すので1か月以上はかかります。

一般的な外壁の塗り替え工事の場合は1週間前後で完成しますが、張り替えは塗り替えよりも作業工程が多くなります。

サイディング張り替えのメリットとデメリット

サイディングを張り替える際のメリットとデメリットを紹介します。たとえ必要な工事だとしてもデメリットはあるので、張り替え工事に対して不安がある人は、今から紹介するメリットとデメリットを比べて、再度検討してみてください。

メリット1:下地や防水シートの補修ができる

サイディングの張り替えを行うと、木下地、柱や防水シートの補修ができます。下地や防水シートはサイディングを剥がさなければ状況を把握できないため、劣化に気づきません。

下地などの補強は、雨漏りの防止にとても重要な役割を果たします。ゆえに、サイディングの張り替えを行ったときに下地や防水シートなどの腐食や損傷を見つけたら、必ず補修してもらうようにしましょう。

外観だけでなく内部まで確認すれば、結果として住宅の耐久性や寿命を伸ばせます

メリット2:新しいデザインに変更できる

サイディングの張り替えを行うと、外観を自分の好きなデザインに変更することが可能です。現在のサイディングボードを剥がしたら、これまで使っていたものは破棄されるため、新しい色やデザインを選べます。

これまでのデザインに飽きていたり、ネットで好みのデザインを見つけたら、お気に入りの色や柄で外観を一新しましょう。反対に今までのデザインを気に入っていたのなら、色や柄はそのままで新築のようにきれいな外観に生まれ変わります。

どちらも選択可能なので、サイディングの張り替えを行うときは事前に理想の外観を想定しておくのがおすすめです。

メリット3:エネルギー効率が良くなる

サイディングの張り替えを行うと、エネルギー効率が良くなります。サイディングボードの内部には断熱材があり、断熱材を交換すると気密性が高まるからです。

断熱材は冷気や熱の伝達を遅らせ、室内の温度を快適に保つ役割があります。外気に左右されなければエアコンでの室温調整も最小限で済ませられるため、日々の節約にもつながるでしょう。

デメリット1:費用がかかる

サイディングの張り替えは、重ね塗りや外壁塗装の補修工事よりも高い費用が必要になります。

塗料による塗り直しよりも材料費・工事費・人件費など、必要とされるもの全てにおいて金額が上回るためです。

もしも現在使われているサイディングボードにアスベスト(石綿)が使用されていたら、特別な処理作業が必要となるので、さらに費用が上乗せされます。

山下さん

工事が大規模であり内部まで確認できる分、通常の補修工事より費用がかかることを心得ておきましょう。

デメリット2:作業に時間・期間がかかる

サイディングの張り替えは外壁全体で行う場合が多く、作業工程も多いので時間がかかります。具体的な期間は建物の規模にもよりますが、30日程度を想定しておきましょう

具体的には、既存のサイディングを剥がすのに約14日、新しいサイディングを張るのに約10日。このあと、給湯器やエアコンを元に戻す必要があります。

足場を組んで養生すれば安易に窓を開けたりすることができないので、作業時間が長いと日常生活に影響を及ぼすこともあるかもしれません。雨や台風が多い時期は工事の進みが遅く、さらに長期間になることも予想できます。

したがって、サイディングの張り替えを行うときは、天候や時期を考慮し、極力日常生活に影響がでない時期を選ぶようにしましょう。

デメリット3:騒音が発生する

サイディングの張り替えは工事期間中騒音が発生します。既存サイディングを剥がす音や工事時の騒音です

自分が建物の中にいるときに騒音を感じるのはもちろんですが、近隣住民にも騒音は影響します。騒音が原因でクレームを受ける場合もあるほどです。

そうならないために、近隣住民にはあらかじめ工事日程を伝えておくようにしましょう。これで騒音が防げるわけではありませんが、挨拶をすることで工事に対して寛容な心を持ってもらえるようになります。

デメリット4:廃棄物が発生する

サイディングの張り替えは、通常の塗装による補修工事にはない廃棄物が発生します。現在のサイディングボードを剥がしたら、それは産業廃棄物として処理しなければならない義務があるからです。

一般的なゴミとして処理すると法律違反となるので注意しましょう。量や重さ、大きさは関係ありません。少量だとしても必ず専門の処理業者に連絡し、適切な処理をしてもらってください。

主なサイディング材と費用相場|平均価格は200万円

サイディングの張り替え工事にかかる費用の相場は、業者や規模によって変動があるものの、170万〜250万の200万円前後が相場とされています。

サイディング材によっても費用相場は変化するので、それぞれの費用相場を詳しく解説していきましょう。

デメリット5:大雨だと塗れる可能性がある。

サイディングを張り替えするときは雨が降っても濡れないように養生がされます。しかし、台風や大雨だと養生では防ぎぎ雨水が浸入してしまう可能性があります。

梅雨や夏の時期は大雨やゲリラ豪雨が多いためできるだけ避けた方が良いでしょう。

各サイディングの特徴と費用相場

建物に使われる代表的なサイディングは、窯業系サイディング・金属系サイディング・樹脂系サイディング・木質系サイディングです。

それぞれの特徴と相場費用は下記を参考にしてください。

サイディング材サイディング材の特徴費用相場
窯業系サイディング日本で最も多く使用されている外壁材。デザインが豊富で、ほかの外壁材より安く施工できます。約4,000~5,000円/㎡
金属系サイディング窯業系サイディングの次に人気が高い外壁材で、金属素材のため衝撃に強く、特に寒い地域では適性が高くなります。約​​6,000~9,000円/㎡
樹脂系サイディング耐用年数が30年ほどと長いのが特徴。防火性、防水性に優れ、凍結やサビの心配もないが、日本での取り扱いが少なく、施工業者が限られています。約7,000円~9,000円/㎡
木質系サイディング本物の木の表面を加工して、耐火性などの機能を追加した外壁材。断熱性が高いものの、取り扱い業者が少ないため費用は高くなります。約6,000~10,000円/㎡

既存サイディングの撤去費用も必要になる

サイディングの張り替えは、必ず撤去費用が必要になります。費用相場は1㎡につき2,000円ほどです。

サイディングボードは産業廃棄物に分類されるため、慎重に処理しなければなりません。さらにアスベスト材が含まれていると、処分費用は1㎡あたり3,000円ほどかかります。

2004年以前に建てられた建物はアスベストが含まれている可能性が高くなるので、撤去費用については詳しく確認するようにしましょう。

山下さん

2004年以前に建てられた建物はアスベストが含まれている可能性が高くなるので、撤去費用については詳しく確認するようにしましょう。

サイディング張り替え工事の工程

サイディング張り替え工事の工程について解説します。

現在のサイディングを剥がして内部を点検し、新しいサイディングボードを施工しますが、そのほかの工程や期間についても詳しく紹介するので、張り替え工事を検討しているものの、具体的なやり方がわからない人はぜひ参考にしてください。

サイディング張り替え工事の主な流れ

サイディング張り替え工事の主な流れを紹介します。業者によって順番や工程数に差があるため、詳細を知りたい場合は、工事内容やスケジュールが記載されている工事工程表を共有してもらいましょう

下記がサイディング張り替え工事の一般的な流れです。

サイディング張り替え工事の流れ

  • 足場の設置と養生
  • 現在のサイディングを剥がす
  • 内部の劣化症状の確認
  • 内部に劣化箇所が見つかれば、下地や断熱材、防水シートなどを補強する
  • 新たなデザインのサイディングを張り、隙間をシーリング材で充填する
  • 施工後に点検を行う
  • 問題なければ足場の解体

山下さん

工事期間中、開け閉めできる窓に制限がかかる場合もあるので、事前に業者に確認するようにしましょう。

サイディングの張り替えでよくある質問

サイディングの張り替え工事に関して、よくある質問と回答をまとめました。まだ張り替え工事に対し不安がある人は参考にしてください。

サイディングの張り替えはDIYできますか?
サイディングの張り替えをDIYで行うことは可能ですが、専門性が高く、高所の作業も多いため、専門業者に任せるのがおすすめです。
内部の状況によっては雨漏りや建物の耐久性に直結する工事なので、専門的な知識がない場合は業者に依頼するようにしましょう。
サイディングを張り替えたら窓はどうなりますか?
サイディングを張り替えても窓はこれまで通り使用できます。
ただし、カバー工法を選択した場合、サイディングを重ねた分出っ張りがなくなったり、凹んでしまう可能性があります不安な場合は事前に施工業者に確認するようにしましょう。
現在タイル外壁ですがサイディングに張り替えできますか?
現在タイル外壁やモルタル外壁であっても、サイディングに変更することは可能です。
張り替え工事は現在の外壁材を全て剥がして行うため、タイルやモルタルからも変更できます。ただし、作業工程や費用相場が異なるケースもあるため、複数社から見積りをとって検討するようにしましょう。

外壁塗装張り替え工事のまとめ

サイディングの張り替え工事は、約200万という費用を要するものの、下記のようなメリットがあります。

張り替え工事のメリット

  • 下地や防水シートの補修ができる
  • 新しいデザインに変更できる
  • エネルギー効率がよくなる

建物の内部はサイディングを剥がさなければ確認できないので、劣化箇所が多い場合や経過年数が25年を超えている場合は、張り替え工事がおすすめです。

また、工事を行ったら撤去費用が必要になることも忘れないようにしましょう。アスベストが含まれている外壁材は撤去費用が高くなります。

1度張り替え工事を行って内部まで点検すれば、メンテナンス期間を長くできるので、張り替え工事は安心して住むために必要な工事といえるでしょう。