外壁塗装がひび割れはどうする?補修が必要?原因と対策を徹底解説

この記事を監修した専門家

外壁塗装会社経営
山下隆盛
ヤマテック株式会社 ウィズリフォーム代表者
ヤマテック株式会社は、サイディング工事で昨年度ニチハ株式会社の出荷枚数で神奈川県No.1 を獲得!そして現在は、「外装リフォームのお困りごとをゼロにする」を理念に、外装リフォームプロ集団を全国にて構築しており奮闘中。一緒に外装リフォームを作る仲間も募集してます!

外壁がひび割れてる!

建物を守る大切な外壁にひび割れを見つけると、外壁の性能に問題がないか不安になりますよね。外壁塗装をしたばかりの家ならなおさらです。

実はひび割れには応急処置でよいものと、速やかに補修が必要なものがあります。判断が難しく業者に一任するしかないとお考えの方も多いのではないでしょうか。

山下さん

この記事では、ひび割れができる原因や放置した場合のリスク、補修費用などを解説します。ひび割れの対応の方針を決めるヒントになれば幸いです。

押さえておくべきこと

  • ヘアークラックは経過観察でもよい
  • 構造クラックはすぐに業者に点検依頼すべし
  • 放置すると最悪の場合、建物の倒壊を招く。
  • 補修費用は1箇所あたり約1〜5万円

目次

外壁塗装のひび割れ【よくある症状】

外壁や塗装のひび割れはよく発生する外壁トラブルの1つ。以下のような症状が一般的な例になります。

住宅の外壁に同様なひび割れがないか確認してください。もし、自分でひび割れなのか、他の症状なのかわからない場合は業者に無料で点検依頼できます。

外壁塗装のひび割れ

外壁塗装のひび割れはなぜ起きる?【5つの原因】

外壁塗装におけるひび割れの原因は主に5つです。今後の対策を考える際にも重要なので、ひび割れの原因に心当たりがないか、今一度確認してみましょう。

ひび割れの原因

  • 経年劣化
  • 施工不良
  • 地震による衝撃
  • 車や電車による振動
  • コンクリートの膨張・収縮

原因1:経年劣化

一番多い原因は、日光や紫外線を受けた塗膜の劣化によるものです。塗膜が外壁素地の膨張や収縮に耐えられなくなると、やがて亀裂が発生します。長時間の放置でひび割れから雨水が侵入し、剥がれが発生します。

また、劣化するまでの期間は塗料のグレードによって違います。一般的に高価な塗料ほど耐久性が高いです。

原因2:施工不良

外壁塗装から早期で起こるひび割れは、塗料の選択ミスや、塗装間の乾燥不足など業者による施工不良が原因です。すぐに施工した業者に連絡を入れ、その後の対策を話し合いましょう。

外壁塗装の施工不良

  • 高圧洗浄不足
  • 下塗り・下地処理が不十分
  • 塗料選定の間違い
  • 塗料の乾燥不足
  • 手抜き工事

原因3:地震による衝撃

地震による大きな揺れが原因で、外壁塗装にひび割れが起きることもあります。この場合は塗装だけではなく、外壁材にも被害が及んでいる可能性があり要注意です。

原因4:車や電車による振動

建物が大きな道路に面している、または近くに線路があると、トラックや電車の通過時に起きる振動でひび割れが生じてしまうことがあります。

原因5:コンクリートの膨張・収縮

コンクリートの特性である膨張・収縮もひび割れの原因になります。コンクリート内の水分が凍結・融解を繰り返すことで、体積が膨張しひび割れが起こるからです。

逆にコンクリートに含まれる水分が蒸発するときには体積は減少し、接している柱や壁に引っ張られひび割れが起きます。

外壁塗装のひび割れはどうする?修理が必要?放置はNG

外壁塗装のひび割れには経過観察でよいひび割れ(ヘアークラック)今すぐ補修が必要なひび割れ(構造クラック)の2種類があります。

ヘアークラック幅:0.3mm以下
深さ:4mm以下
構造クラック幅:0.3mm以上
深さ:4mm以上

構造クラックを放置しておくと、外壁が風雨や湿気にさらされることで、ひび割れは広がります。結果的に防水効果が低下し、内部に浸水することがあります。

山下さん

放置すると、建物の構造に損傷が生じ、修理に高額な費用がかかることもあります。

また、素人では高い場所にできたひび割れや剥がれ、それ以外の不具合に気づくのは難しいです。専門業者なら外壁の状態から予測できる被害について、アドバイスや補修をしてもらえます。 

「ヘアークラック」は経過観察で大丈夫

ヘアークラックは外壁の表面に表れる髪の毛ほどの細いひび割れで、国土交通省の定義では幅0.3mm以下・深さ4mm以下とされています。モルタル外壁だけでなく窯業系サイディング、コンクリート外壁にも発生します。

山下さん

ヘアークラックの原因は日光や紫外線などによる塗膜の劣化のため、補修の緊急性はありません。

しかし、すぐに重大な欠陥へと繋がらないとしても、しっかり経過観察する必要があります。発見時に写真を撮っておくと、その後の変化が分かりやすいです。

「構造クラック」は今すぐ補修が必要

構造クラックは幅0.3mm・深さ5mm以上のひび割れです。建造物の構造本体にまで影響を及ぼす恐れが高く「貫通クラック」とも呼ばれています。

割れ幅が大きい雨水が侵入で、外壁の劣化や腐食、構造本体にまで影響を与えます

山下さん

すぐに専門業者に相談して補修しましょう!

構造クラックはどのくらい危険?

構造クラックにも危険度ランクがあります。

危険度種類主な原因補修レベル
低い垂直水平ひび割れ地球にかかる重力が建物にもかかるすぐに補修をすれば問題にならない
高い斜めひび割れ建物の構造バランスの悪さ建物自体の耐震補強も検討すべき
MAXバッテン(クロス)ひび割れ大地震などの大きな負荷耐震補強だけでなく改築や建て替えが必要

外壁塗装のひび割れ補修方法は?軽度なら塗装以外もあり

外壁のひび割れは種類や症状により補修の方法が異なります。

チョーク補修

小規模なクラックならば、チョークによる補修ができます。ひび割れ部分に水を塗り、チョーク型のコンクリート粉をすりこんで指で押さえて仕上げる方法です。これを10cmごとに繰り返し行います。 

スプレー補修

使用するのはチョークによる補修と同じコンクリート粉ですが、スプレーを使用するため時間の短縮ができます。スプレーでひび割れ部分を水で塗らし、セメントの粉をスプレーした後、周囲になじませたら完成です。

デメリットは周囲にコンクリート粉が飛び散り無駄が多くなる点です。 

シーリング補修

シーリングによる補修は、気密性や防水性向上が目的です。ひび割れた箇所をU字にカットし、その部分に専用プライマーを湿布します。その後シーリングを充填し、表面は樹脂モルタルを塗って平滑にしたら完成です。 

外壁塗装による補修

ひび割れのほかにも気になる不具合があれば、外壁塗装を行うほうが仕上がりは綺麗です。前回の外壁塗装から10年近く経過しているなら、ちょうど良いタイミングかもしれません。

外壁交換による補修

外壁交換はカバー工法ができない外壁や、雨漏りや内部劣化が進んでいる場合に最良な方法です。費用はかかりますが、内部の防水紙などのメンテナンスも同時にできます。既存の外壁材を変えたいときにも、外壁交換がおすすめです。 

外壁塗装のひび割れ補修費用はいくら?

ひび割れの補修費用には、相場はあっても決まりはありません。それは外壁の種類や状態や施工方法によってかかる費用が異なるためです。業者に施工内容を確認し、費用が適切なのか確認する必要があります。ひび割れに関する相場や最低限の知識は身に着けておきましょう

補修費用は1箇所で5~6万円

ひび割れの補修費用はひどい箇所だと1箇所で5~6万円の修繕費がかかります。補修場所が高所であれば、足場代もプラスされ費用はその分高くなります。

また、これはあくまでも目安であり、補修方法によっても異なります。軽度のひび割れには「注入工法」、構造クラックには「充填工法」などの施工方法があります。

放置すると100万円を超えることも

軽度のひび割れならば大丈夫だと思い放置すると、被害は広がる一方です。大規模な補修を行うことになれば、その分、追加費用が加算されます。

ひび割れが外壁全体に及んでいると100万円以上になることもあります被害を最小限に抑えるためにも早めの補修が大切です。

保証期間内なら節約できるかも

業者による自社保証では、基本的にひび割れに対しての保証はありません。ただ、地域に密着した工務店なら、原因調査をした上で施工不良が分かれば、無料もしくは安価で対応してくれるかもしれません。

プロが明かす【外壁塗装のひび割れの施工実例】

実例1:外壁にヘアークラックあり!下地処理と再塗装で対応

実例:1

状況外壁にクラックや出隅の割れ等見られますので、しっかりと補修し、下地処理を行い再塗装しました。また、外壁のサイディング浮き反りなどもあるので塗る前に調査してから塗装をしました。

実例2:シーリングに亀裂あり!雨水が壁裏に侵入している可能性あり

実例:2

状況サイディング塗装塗膜部分が剥がれていました。また、シーリングが劣化し亀裂が入っているため雨水がサイディング部分に侵入している可能性が高いです。そのため、シーリングの打ち直し、サッシ周りなど打替えが困難な箇所は打ち増ししました。

「構造クラック」を放置してはいけない【5つの理由】

ひび割れ、とくに構造クラックを放置したままにしておくと、雨漏りやシロアリ発生など建物に大きなリスクが高まります。外壁だけでなくほかの場所にも影響を与えかねないので、必ず確認しておきましょう。

構造クラックを放置してはいけない理由

  • 外壁の剥がれにつながる
  • 雨漏りが発生する
  • 基礎コンクリートが割れる「爆裂現象」
  • 住宅全体が損傷する
  • シロアリの発生につながる

外壁の剥がれにつながる

ひび割れは冬の夜間、特に注意が必要です。ひび割れから雨水が入ると外壁が凍結・膨張を繰り返して亀裂が生じ、周りの塗膜も剥がれやすくなります。

雨漏りが発生する

雨水が侵入し外壁内部に水分を含んだ状態が長く続くと、室内まで被害が広がり雨漏りが発生します。雨漏りはシロアリの発生の原因になるため、放置するのは大変危険です。

超危険な「爆裂現象」が起きる

基礎コンクリートの爆裂現象はあまり起きないものの、建物の強度が低下し倒壊の恐れもある危険な状態です。コンクリートの性質上、ひび割れができても不思議ではありません。問題は、ひび割れからの空気や雨水の侵入です。

内部の鉄筋が錆びる、さらには錆びた鉄筋が膨張して露出する原因になります。基礎コンクリートに横ひび割れや膨らみが見られたら、すぐに業者への点検依頼をおすすめします

住宅全体が損傷する

ひび割れの放置は時間の経過とともに、外壁表面から内部へと被害が拡大します。塗装だけで済むはずだったものが、外壁の取替、雨漏りの発生、構造体にまで被害が及び住宅全体が損傷してしまうこともあります。

損傷が大きくなれば工事費用も高額になるので、早めにメンテナンスを行いましょう。

シロアリの発生につながる

雨水が浸透した湿った環境は、シロアリの大好物です。シロアリは水なしでは生きられず、湿った木材の中に巣を作り栄養や水分を補給します。シロアリの発生は、建物の弱体化から倒壊のリスクが高まるため要注意です。

外壁塗装のひび割れを防止する方法は?対策できる?

外壁塗装を長持ちさせるために、日常のチェックや定期的なメンテナンスなどを行う方も少なくありません。しかし最も重要なことはひび割れを起こさないことです。

外壁塗装の際は見積もり段階から、ひび割れしないようしっかりとした対策を取りましょう。

定期的にチェックして早期発見が大切

不具合を早期発見・早期補修するために、普段から外壁の定期的なチェックを行いましょう。ヘアークラックの段階で発見できれば、経過観察ができ被害を最小限におさえられます。 

ひび割れを発見したら、まずはクラックスケールでひび割れの状態を確認します。ひびの幅と深さを測りヘアークラックならまだ見守ってもOK、構造クラックならばすぐにでも専門業者に相談してください。

クラックスケールはホームセンターやインターネットで購入できます。

弾性塗料はひび割れの原因にもなる

ひび割れ防止には伸縮性と柔軟性、防水性に優れた「弾性塗料」がすすめられます。弾性塗料には「高弾性塗料」と「微弾性塗料」があり、後者は2〜3年で弾性が無くなるのが特徴です。

弾性塗料とは?

弾性塗料は、建物や構造物の外壁塗装に使用される塗料。一般的な塗料よりも高い伸縮性を持ち、気候変動や建物の収縮・膨張に対応することができます。

ひび割れを長く防止したいなら、高弾性塗料を選ぶようにしましょう。

また弾性塗料はモルタル外壁には最良な塗料ですが、サイディング外壁には不向きです。外壁と塗料との相性も重要なので、塗装の際は外壁の種類も事前に確認しておきましょう。

ひび割れ誘発目地をつくる

ひび割れの原因である揺れや衝撃に備えるために、あらかじめひび割れ誘発目地を作っておくのも1つの方法です。ひび割れが建物の動きにより発生するため、力を逃がして発散させるのが目的です。

一番重要なのは優良業者を選ぶこと

外壁にひび割れができたらどうする?と考える前に、まずは優良業者選びに重点をおくことが大切です。優良業者を選ぶポイントは、数社から相見積もりをとること。また、その地域でしっかりと実績がある業者であること。

複数の業者から直接話しを聞き、客観的な見方ができるようになります。1社だけでは見過ごしていたかもしれない見積もり内容を、比較できるのもメリットです。

山下さん

充実したアフターフォローや保証などの有無も踏まえ、安心して任せられる優良業者を選んでください。

外壁塗装のひび割れでよくある質問

外壁塗装のひび割れに保険は適用されますか?
住宅保険や火災保険によっては、外壁塗装のひび割れに対する補償が含まれていることがあります。保険内容を確認し、適用されるか相談してみましょう。
建物の構造上、ひび割れが発生しやすい箇所はどこか?
ひび割れが発生しやすい箇所には、窓周り、外壁と屋根の接合部、配管や雨どいの取り付け部分があります。これらの箇所は特に注意して点検しましょう。
地域によってひび割れの発生率に違いはありますか?
地域によって気候や自然災害の影響でひび割れ発生率に違いがあります。湿度が高い地域や地震が多い地域では、ひび割れが起こりやすくなります。

外壁塗装「ひび割れ」のまとめ

この記事のまとめ

  • 構造クラックと、ヘアークラックがある。
  • 原因は、経年劣化と業者の施工不良の2つ。
  • 放置すると最悪の場合、建物の倒壊を招く。
  • 予防は見積もり段階から対策をする。
  • ひび割れの補修はDIYも可能だが、再発の恐れがあるため業者に依頼するほうが良い。
  • 相場は1箇所あたり約1〜5万円

ひび割れは建物の一大事ではありますが、まずは慌てずにどの程度のひび割れなのかを確認しましょう。状態によって補修方法も異なり、場合によっては部分補修でなく外壁塗装を行う方がお得になることもあります。

以上を踏まえると、やはり専門業者に点検を依頼するのが一番良い方法です。大切な住まいのためにも、ひび割れは適切な方法で処置するようにしましょう。